【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
 ルードリックはホッとした様子だけれど、少し険しい顔をしていた。

 心強い彼の姿に安堵して、へなへなと座り込みそうになる。それをルードリックがそっと支えた。

「エリアナ、平気か?」
「殿下……とても怖かったです」

 こんなにはっきりした殺意を向けられたのは、孤児聖女でも未経験のことだ。

「来るのが遅くなってすまない」

 ルードリックはエリアナを助けに走ったが、楯の発動を確認したため、同じく矢が飛んできたルシータに加勢したという。
 こうしていても、【ヴァイオレット殺】の矢はエリアナを狙ってもぞもぞと動き続けていた。エリアナの解呪範囲に触れた途端にぱたりと静かになる。

 現在ルシータはスグレテイル家の騎士に囲まれ、トーイの盾の魔術に守られていた。騎士たちはもぞもぞ動く矢を忌々し気に踏みつけている。もう大丈夫だろう。

 けれど魔物たちの勢いはすさまじく、広場にいる騎士だけでは討伐できそうにない。

「【スサノーン】」

 陛下の守護獣召喚の声がし、スサノーンの咆哮が響く。神獣の聖なる力がぶわっと広がり、炎を纏わせた不死鳥が広場上空で火の軌跡を描きながら飛ぶ。
 空気を揺るがす守護獣の威圧で、魔物たちの動きが鈍った。

 それを合図としたのか、ルードリックも守護獣の名を呼ぶ。

「【ナギュルス】」

 ルードリックの背後から出現した大きな黒獅子。雷を纏わせて咆哮を響かせ、パリパリと光る稲妻が魔物たちに放たれた。

「エリアナ殿! 助太刀に参りましたよ!」
「パックン副長官! ありがとうございます」
「なんのこれしき! 解呪の女神のためとあれば、なにがあっても駆けつけますよ!」
「あ、あの、女神はやめてください……」

「エリアナ殿っ、私たちも一緒です!」
「さあ、森の中に散りますよ。二人一組で動きましょう」

 魔術師部のパックンだけでなく、ステアートとセリーナも現れた。ほか数人の魔術師も来て解呪のお香と呪物感知の魔道具を持って森の中に入っていく。

 強力な呪いなのでお香では解呪できない。けれど、お香は魔術師たちを悪しき力から守ってくれる。

「殿下、呪術師は天幕の中で呪力の盾を展開しています」
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