【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「そろそろ頃合だな。エリアナ、解呪を頼む」
「はい」
森の中に仕掛けられた呪物は無数にあったが、パックンたちの協力もあって数分で封じの陣に集められる。
「ほう、まことに小さな物なのだな。大した才能だ」
陛下が感心した声を出し、まずは証拠としてそのまま保管することになった。
そして魔物たちは守護獣たちの威圧で一か所に集められていた。エリアナは魔術師の杖を懐から取り出し、魔物たちのもとに向かう。
近づくと唸り声をあげるが、エリアナには助けを求めているように見える。
「すぐに、元に戻してあげるね」
しゅんっと伸びた杖をコンと地面に打ち付けた。そうすれば、白い光がぱあぁっと輝く。
これは本物の杖ではなく、エリアナの力を隠すために作られた、ただの強い光を放つ魔道具である。こうすれば解呪に秀でた魔術師にみえるという寸法だ。
「そばにおいで」
手を差し伸べると魔物たちの傷が癒え、しゅわわわわ~っと小さくなっていく。元の大きさに戻った獣たちは穏やかな目をしていた。
触れればもふっとした手触りに癒され、獣たちが甘えるように身を預けてくる。
「ごめんね、怖かったよね」
解呪シーンを見ていた貴族たちからどよめきが上がっている。
「聖女みたいだ」
誰かがぽそりとつぶやいた。
天幕のほうから愕然とした様子の妃候補が現れた。
ふらふらと歩いてエリアナを凝視している。
「どうして……これは、どうなってますの?」
彼女が目にしたのは獣と戯れるヴァイオレット……エリアナである。
「容疑者を近づけるな!」
「はっ」
陛下の命に、近衛騎士がジャキンと剣を鳴らして彼女に突きつける。
「動くな」
「無礼な。わたくしは陛下の妃候補よ! 下がりなさい!」
彼女はまがまがしい呪術の盾を構えて剣を避けた。
「妃候補とはいえ、悪事を働けば罪を償わなければいけません」
ルシータの凛として冷静な言に、うつむいた彼女はぎりっと歯を鳴らした。ついで、「無能のくせに」と口の中で繰り返し、ばっと顔を上げた。