【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
忌々しそうに言葉を吐くルードリックに抱えられ、ひらりと地面に降りたエリアナに傀儡騎士の剣がひらめき、瞬時に魔道具の盾が発動する。
剣を振り下ろしても刺しても、楯に阻まれてガキンガキンと音が鳴るばかりだ。彼女は苛立った声を上げる。
「なにをやっているのです、そんな盾、早く壊して仕留めなさい」
ルードリックは騎士たちの剣を華麗にかわして気絶させている。が、傀儡になった彼らは意識がなくとも剣を持って立ち上がった。きりがない。
──早く解呪しないと! でも、どうする?
魔道具の盾に守られたままでできるのだろうか。
エリアナはそっと盾の外に手を出してみた。攻撃に対して硬質なそれは、水のようにとぷんと手を通す。
──すごいわ。柔らかい。これなら!
エリアナは剣を避けながら騎士の体に触れ、解呪して回る。意識のなかった彼らは、次々に地面に倒れた。
「うそでしょ。こんなの、うそよ」
ワナワナと青ざめた彼女がふたたび杖を構えたそのとき、トーイの声が響いた。
「陛下、呪術を確認、魔道具に記録いたしました!」
「よし。トーイ、呪術師を捕縛せよ!」
「御意!」
陛下の命で地面に打ち付けたトーイの杖から伸びる光の紐が、彼女の体に巻き付いた。ぎりりと腕をひねられて、杖がカランと地面に落ちる。
近衛騎士の手によってトーイの紐から捕縛用のロープで巻きなおされ、跪かされる。
「そなたの力は稀有ではない。呪術師・フロリア・ジミーネよ。浅はかな目論見は潰えた。牢の中で沙汰を待つがよい」
「そんな、陛下! わたくしこそ、皇帝の妃でございます! 陛下!」
「連れていけ」
「はっ。来い!」
呪術師フロリアが引きずられるように連れていかれ、事の顛末を目撃していた貴族たちは動揺を隠せず、一部からはジミーネ家の行く末を哀れむ言葉がささやかれた。
ざわめきの中、ルードリックは倒れている騎士を天幕に運ぶよう指示している。