【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
エリアナは広場に残っていた獣たちに森に帰るよう促した。そこに、ミニサイズになった赤い鳥とちび獅子が飛びついてくる。
「二匹ともお疲れさま」
そう言葉をかけると、二匹は幸せそうにクルクルと声を出す。頭を撫でるとうっとりと目をとじた。
──あぁ、癒される……。
妃候補になってからの苦労が水のように溶けて流れていく。
そんなエリアナに、ルシータが「お疲れさまです」と声をかけた。
「ルシータさまこそ。おけがはありませんか?」
「ええ、けがはございません。それはそうとエリアナさま、わたくしは最初からエリアナさまだと存じていましたわ」
「えっ!?」
ルシータは思い出したようにクスクス笑った。
ヴァイオレットの声がエリアナだったし、すべての言が書物にあったものに似ていたし、悪役であろうとするあまりに芝居がかっていたからと話す。
「そうそう、ミカキーネ侯爵令嬢もご存知でしたわ」
「……そうでしたか、私は、ふがいない悪役ぶりだったのですね」
なんだか恥ずかしくて、頬を両手で覆った。
「そうじゃありませんわ。ほかのお方は気づいていませんでしたし。ミカキーネの令嬢には秘密がございますの。けれど、エリアナさまには内緒にしておきます」
「え、ルシータさま、どういうことですか?」
ルシータは「ご本人からお聞きくださいませ」とクスクス笑うばかりだ。
尋ねたくても、当の令嬢はミカキーネ侯爵とともにいる。
「大変でしたわね」
エリアナの周りに妃候補たちが集まってきた。みんなエリアナの正体と活躍に驚き、お礼をのべてくる。
そこに。
「シラーニャ! あぁ、わが愛しの妹よ! 無事かい? 恐ろしかっただろう? 兄さまは心配でたまらなかったよ!」
そうぞうしくて芝居がかった口調で割り込んできたのは、茶髪でそばかすのある殿方だった。
──ん? この感じ、どこかで聞いたような……?
呆気にとられる雰囲気、それはいったいどこで見聞きしたのか。
「エラシお兄さま、わたくしはこの通り無事ですからお静かになさいませ。恥ずかしいですわ」