【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

 つれなく返事をするシラーニャにもめげず、エラシは妹の手を握る。

「あぁシラーニャ、よかった」

 涙を流さんばかりの様子を眺めていて、エリアナはピコーンと気づいた。

 ──季節限定スイーツ店!

 背後でルードリックが「この男が時期チャライン侯爵か」とつぶやいている。

 シラーニャはなんとかエラシをなだめて遠ざけ、エリアナをじっと見た。

「ヴァイオレットさま……。いえ、エリアナさまは解呪師として潜入捜査なさっていたのね。見事な妃候補ぶりでしたけれど」
「ということは、エリアナさまは妃候補ではないのですね!? そうでしょう、そうでしょう。わたくしは、なにもかも存じておりましたわ!」

 ヒロイニアがどやぁっと胸を張り、パトリシアが「あら」と声を上げた。

「ヒロイニアさまは、一番に、ヴァイオレットさまをライバル視していましたわよね?」
「ぐ、そ、そんなことは」

 ぐぬぬとうめくヒロイニアの様子に、エリアナは笑顔をこぼす。

「ヒロイニアさまは勇敢ですもの。そんなお方にライバル視されて光栄でした」
「まあ、エリアナさま……! そうでしょう。わたくしは勇敢なのです」
「あら、ヒロイニアさまの場合、勇敢というよりも、無謀と思いますわ」

 エリアナを中心に笑顔が広がる。

「また、エリアナの友が増えたか」
「エリアナさまは人をひきつけますから」

 妃候補と親しそうに話すエリアナの様子を、ルードリックは愛しそうに、マクスは誇らしそうに見つめていた。

「手を放しがたい。人に愛される、素敵なひとだ」

 ルードリックの小さなつぶやきは風に乗り空のかなたへ消えていく。
 それを耳にしていたマクスは、大公家の呪いが解かれ、二人が結ばれる未来を切に願った。


 エリアナの妃候補の任務は、これにて終了。のちに莫大な報酬が与えられる。
 陛下個人からは「約束だったな。ほら、ツノグマだ」と狩りの獲物を送られ、その大きさと処理の仕方に困惑し、ルードリックに助けを求めることとなった。
 
 そして狩りの数日後には、皇妃が決定された。



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