蜜月と甘い嘘 〜忘れられた辣腕社長は記憶を無くした花嫁を離さない〜
◆◆◆
「こんな人と、どうやって知り合ったのかしら」
「気になる?」
――それから数日が過ぎた日曜日の夜22時。今日もテレビでは彼の特集が放送されている。新商品のPRの一環であるとのことらしいが、世間では星刻堂の商品だけでなく、彼自身も興味を引く存在らしい。画面に映る『時代の寵児、笹原昴社長に迫る』と銘打った番組を眺めながらリビングのソファで首を傾げていると、お風呂上がりの湯気が残る美麗な男性――私の「夫」が楽しそうにこちらを見つめている。
「まあ……。そりゃ結婚した相手のことですもん。知りたいですよね」
急に情報を詰め込みすぎて、脳に負担をかけてしまうのは良くないだろう。また倒れてしまっては元も子もない。そんな事を諭されて結局私は彼についてまだまだ知らないことの方が多い。
「もう一度恋して貰えるように頑張るから、久美は記憶が戻らなくても焦らなくていいよ」
そう言って優しく微笑む彼に気が咎めて、それ以上私達のことについて追求する気になれなかったのだ。
だからといって、過去について気にならない訳が無い。プイと横向き口を尖らせてみると、面白そうにクツクツ笑う声が聞こえてくる。
「全く……久美はかわいいなあ」
「もうっ。からかわないで下さいよ」
頬を膨らませていると、彼は「出会いはね……」と言葉を選ぶように口を開く。
「なんて言えばいいんだろ……。食事をしていたら偶然久美を見かけてね。そこで一目惚れして、僕から声をかけたんだよ」
「……それってナンパじゃないですか」
そんなドラマみたいな出会いなんてあるのだろうか。信じられないと考え込んでいると、彼は心配そうに眉を顰めた。
「軽いって、幻滅した?」
「あ、いえいえ。笹原さんみたいなセレブでもそういう事をするんだなあってちょっと驚いて」
「勿論そんな事をするのは初めてだったけどね」
上手くいって良かったと肩をすくめておどけてみせる。
「こんな人と、どうやって知り合ったのかしら」
「気になる?」
――それから数日が過ぎた日曜日の夜22時。今日もテレビでは彼の特集が放送されている。新商品のPRの一環であるとのことらしいが、世間では星刻堂の商品だけでなく、彼自身も興味を引く存在らしい。画面に映る『時代の寵児、笹原昴社長に迫る』と銘打った番組を眺めながらリビングのソファで首を傾げていると、お風呂上がりの湯気が残る美麗な男性――私の「夫」が楽しそうにこちらを見つめている。
「まあ……。そりゃ結婚した相手のことですもん。知りたいですよね」
急に情報を詰め込みすぎて、脳に負担をかけてしまうのは良くないだろう。また倒れてしまっては元も子もない。そんな事を諭されて結局私は彼についてまだまだ知らないことの方が多い。
「もう一度恋して貰えるように頑張るから、久美は記憶が戻らなくても焦らなくていいよ」
そう言って優しく微笑む彼に気が咎めて、それ以上私達のことについて追求する気になれなかったのだ。
だからといって、過去について気にならない訳が無い。プイと横向き口を尖らせてみると、面白そうにクツクツ笑う声が聞こえてくる。
「全く……久美はかわいいなあ」
「もうっ。からかわないで下さいよ」
頬を膨らませていると、彼は「出会いはね……」と言葉を選ぶように口を開く。
「なんて言えばいいんだろ……。食事をしていたら偶然久美を見かけてね。そこで一目惚れして、僕から声をかけたんだよ」
「……それってナンパじゃないですか」
そんなドラマみたいな出会いなんてあるのだろうか。信じられないと考え込んでいると、彼は心配そうに眉を顰めた。
「軽いって、幻滅した?」
「あ、いえいえ。笹原さんみたいなセレブでもそういう事をするんだなあってちょっと驚いて」
「勿論そんな事をするのは初めてだったけどね」
上手くいって良かったと肩をすくめておどけてみせる。