蜜月と甘い嘘 〜忘れられた辣腕社長は記憶を無くした花嫁を離さない〜
「久美?どうしたの?大丈夫?」
「あの、申し訳無いんですけどどなたかとお間違えになられていませんか?」
「間違いだなんて――」
「だって私、貴方とは初めてお会いしますよね――――?」
問いかけの反応の微妙さに、美しい面立ちに焦りの色を浮かべはじめた男性と強張った様子の医師達の顔を交互に見比べる。
――私は何かを忘れているの?
慌てて身体を起こそうとすると、ぐらりと目の前が大きく揺れる。力任せに脳を直接揺さぶられているような酷い目眩に、堪えようの無い吐き気がこみ上げてくる。
「――久美?」
心配そうな男性の声に、きちんと反応する事が出来ない。嘔気を抑えようと意識する程、呼吸が浅く荒くなっていく。強く握った指先が冷えて、べとべととした嫌な汗が止まらない。
「……だって……。だって、私……」
結婚も、貴方のことも、記憶になんてない――
必死になって訴えようとした言葉は、最後まで口にすることは出来なかった。涙で歪んだ視界が暗転すると、身体の力が一気に抜けてベットにドサリと倒れ込む。
「――久美っ?!」
「笹原さんっ!」
「バイタル確認!早く!」
遠くで緊迫した声が聞こえてくるが、覚えているのはそこまでだった。
――それきり私は意識を失ってしまったのだった。
「あの、申し訳無いんですけどどなたかとお間違えになられていませんか?」
「間違いだなんて――」
「だって私、貴方とは初めてお会いしますよね――――?」
問いかけの反応の微妙さに、美しい面立ちに焦りの色を浮かべはじめた男性と強張った様子の医師達の顔を交互に見比べる。
――私は何かを忘れているの?
慌てて身体を起こそうとすると、ぐらりと目の前が大きく揺れる。力任せに脳を直接揺さぶられているような酷い目眩に、堪えようの無い吐き気がこみ上げてくる。
「――久美?」
心配そうな男性の声に、きちんと反応する事が出来ない。嘔気を抑えようと意識する程、呼吸が浅く荒くなっていく。強く握った指先が冷えて、べとべととした嫌な汗が止まらない。
「……だって……。だって、私……」
結婚も、貴方のことも、記憶になんてない――
必死になって訴えようとした言葉は、最後まで口にすることは出来なかった。涙で歪んだ視界が暗転すると、身体の力が一気に抜けてベットにドサリと倒れ込む。
「――久美っ?!」
「笹原さんっ!」
「バイタル確認!早く!」
遠くで緊迫した声が聞こえてくるが、覚えているのはそこまでだった。
――それきり私は意識を失ってしまったのだった。