早河シリーズ完結編【魔術師】
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 この強固な城塞で覆われた城への侵入に成功した者に私は敬意を表する。私が知る限り、鉄の砦を破りここまで辿り着ける人間はひとりしかいない。

 スパイダー。もしも私の望み通り君がここに辿り着ける唯一の人間であったなら、友として君を誇りに思う。
今この画面を閲覧している人間がスパイダーでも警察関係者でもどちらでも構わない。

 私を慕ってくれる者は今も昔も多い。これは喜ぶべきことか、否か。

しかし現在の私の側に集う者達は過去の私の幻影に囚われている者達ばかりだ。
犯罪組織カオスのキング。彼らは過去の私に自らを投影し、儚い幻を産み出している。

 私を慕う者のひとり、ダンタリオンについてここに綴ろう。ダンタリオンの正体は警視庁捜査一課所属の刑事、土屋千秋。
警察関係者諸君、君達の側にいるあの女性だよ。

 彼は私を殺してキングの座を継承する企てをしている。私も父を殺害することでキングを継承した。
彼の行動は理解できなくもないが、彼は私だけではなく協力関係を結ぶ仲間もろとも私を殺そうとしている。

 彼は私の滞在先に爆弾を仕掛けた。爆破時刻は1月26日、20時丁度。
彼の使用するスマートフォンのデータを外部から抜き取って得た情報だ。爆破時刻に間違いはない。

 私は自分の命にもキングの立場にも興味はない。死刑判決の出ているこの身は、国家の名の下にいつか散る。
しかし易々と殺されて生を終える気も毛頭ない。

 爆弾の解体作業は進んでいる。警察関係者諸君がこの文章に目を通す頃には、大方の解体作業を終えているだろう。

私は私の大切なものを守るだけだ。ご心配なく。後は頼みましたよ。

              貴嶋佑聖
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