早河シリーズ完結編【魔術師】
『俺も三浦の時は授業以外ではなるべく美月に近付かないようにしていたんだ』
「どうして?」
『近付いたら触れたくなるから。抱き締めたくなるしキスもしたくなる。……こうやって』
煙草を手放した佐藤の指が美月の血色のいい唇をなぞる。この小さな口の中に、さっきまで佐藤の分身が入っていた。
初めて美月と身体を重ねた12年前、彼女の身体は男を知らない処女だった。
思春期特有の性への好奇心は持ち合わせていても、女性的に成熟しているとは言えなかった。
風呂場で躊躇いなく佐藤の性器を口に含んで愛撫する美月は、佐藤の知らない女性に映った。佐藤が美月の口内で絶頂を迎えたのは今夜が初めてだ。
どろっとした白濁の体液で乳房を汚す美月の姿には、退廃的な美しさを感じた。
美月をここまで性的に成熟した女にしたのは彼女の夫、木村隼人だろう。
『正直こんなに悔しいとは思わなかった。俺が知らない間に、男を喜ばせる方法を仕込まれたんだと思うと木村くんへの嫉妬が止まらない。嫉妬で気が狂いそうだ』
寄り添う彼女を抱き抱えて隣のベッドに移動した。柔らかなベッドに美月の身体が着地して、その上に佐藤が跨がる。男と女の重みでベッドが軋んだ。
『男は馬鹿な生き物だよ。どんな綺麗事を並べても結局は好きな女を自分の所有物にしたいと思ってる。美月の最初の男だって自負もある。馬鹿だろ?』
はだけたバスローブから露になった美月の胸の膨らみを佐藤の手のひらが覆った。きめ細かな柔らかい肌が手に吸い付いて離れない。
美月が佐藤の眼鏡を外す。主の側を離れた眼鏡はサイドテーブルの上に。眼鏡のレンズが照明の明かりをキラキラと反射していた。
「私だって佐藤さんを私だけのモノにしたいと思ってるよ。ずっと独り占めしていたい。あなたの最後の女になりたいの……」
数えきれないキスを重ねても、どれだけ触れ合っても、まだ相手を欲している。
ただ一度だけ会いたくて、何度も夢の中で会いたいと叫んだ恋焦がれた人。
あなたが欲しい。君が欲しい。側にいたい。
一緒に居たい。心が痛い。
「でも私は隼人を裏切れない。今だって裏切ってるのにこれ以上、隼人を傷付けたくない。子ども達のことも裏切れない」
『わかってる。だから俺達は越えちゃいけないんだ』
バスローブの紐がほどかれて、素肌を晒して抱き締め合った。
『愛してるよ』
「私も……愛してるよ」
未来のない誓いのキスは涙の味。
「どうして?」
『近付いたら触れたくなるから。抱き締めたくなるしキスもしたくなる。……こうやって』
煙草を手放した佐藤の指が美月の血色のいい唇をなぞる。この小さな口の中に、さっきまで佐藤の分身が入っていた。
初めて美月と身体を重ねた12年前、彼女の身体は男を知らない処女だった。
思春期特有の性への好奇心は持ち合わせていても、女性的に成熟しているとは言えなかった。
風呂場で躊躇いなく佐藤の性器を口に含んで愛撫する美月は、佐藤の知らない女性に映った。佐藤が美月の口内で絶頂を迎えたのは今夜が初めてだ。
どろっとした白濁の体液で乳房を汚す美月の姿には、退廃的な美しさを感じた。
美月をここまで性的に成熟した女にしたのは彼女の夫、木村隼人だろう。
『正直こんなに悔しいとは思わなかった。俺が知らない間に、男を喜ばせる方法を仕込まれたんだと思うと木村くんへの嫉妬が止まらない。嫉妬で気が狂いそうだ』
寄り添う彼女を抱き抱えて隣のベッドに移動した。柔らかなベッドに美月の身体が着地して、その上に佐藤が跨がる。男と女の重みでベッドが軋んだ。
『男は馬鹿な生き物だよ。どんな綺麗事を並べても結局は好きな女を自分の所有物にしたいと思ってる。美月の最初の男だって自負もある。馬鹿だろ?』
はだけたバスローブから露になった美月の胸の膨らみを佐藤の手のひらが覆った。きめ細かな柔らかい肌が手に吸い付いて離れない。
美月が佐藤の眼鏡を外す。主の側を離れた眼鏡はサイドテーブルの上に。眼鏡のレンズが照明の明かりをキラキラと反射していた。
「私だって佐藤さんを私だけのモノにしたいと思ってるよ。ずっと独り占めしていたい。あなたの最後の女になりたいの……」
数えきれないキスを重ねても、どれだけ触れ合っても、まだ相手を欲している。
ただ一度だけ会いたくて、何度も夢の中で会いたいと叫んだ恋焦がれた人。
あなたが欲しい。君が欲しい。側にいたい。
一緒に居たい。心が痛い。
「でも私は隼人を裏切れない。今だって裏切ってるのにこれ以上、隼人を傷付けたくない。子ども達のことも裏切れない」
『わかってる。だから俺達は越えちゃいけないんだ』
バスローブの紐がほどかれて、素肌を晒して抱き締め合った。
『愛してるよ』
「私も……愛してるよ」
未来のない誓いのキスは涙の味。