早河シリーズ完結編【魔術師】
 美月のパジャマのボタンがひとつひとつ外されて、剥き出しになった肌を隼人の大きな手が覆う。

「身体……平気?」
『少しキツいかも。今日は美月が上に乗って?』

 佐藤との最後のデート以降、誰にも触れられていなかった身体の隅々に隼人の感覚が刻まれる。一気に取り払われたパジャマのズボンとショーツは床の上でくしゃくしゃになって丸まって、隼人の目の前に美月の裸体が晒される。

 佐藤と過ごしたあの夜の細部を隼人は知らないはずなのに。

 首筋、鎖骨、乳房、脇の下、腹部、下肢、臀部、そして蜜壺。

佐藤が触れたそれぞれの場所を、佐藤が舐めた場所を、佐藤が口付けした場所を、美月の身体の至るところに残る佐藤の感覚を、隼人は自分の感覚に上書きしていく。

 前から攻め終えれば、今度は後ろから。美月を四つん這いにさせて尻を突き出させれば、彼女の頬と肌は羞恥で紅潮している。

後ろから眺めた美月の蜜壺は先ほどの愛撫のおかげで、すでにかなりの蜜を吹き出していた。まだまだ愛し足りない隼人は、再び濡れた蜜壺にキスを落とした。


「ぃやぁ……。隼人……」
『今さら照れるなよ』
「ぁっ……。だって……このポーズはどうしても恥ずかしい……あっ……ん」
『今日は美月の身体全部、俺のものだって印つけるんだよ』

どんなに美月が恥ずかしがっても、美月の身体の隅から隅まで余すことなく、隼人は愛撫し続けた。

 指で唇で舌で、散々互いの身体を弄ぐり合った後、美月はソファーに座る隼人の上に跨がった。
美月が隼人に体重を預けると繋がりが奥まで達して、それだけで二人は快感に支配される。

舌を絡ませて唇を貪り合いながら、美月が腰を動かしそうになると隼人が彼女の腰を両手で掴んで強く引き寄せた。

『まだ動いちゃダメ』
「ダメなの……?」
『どっちが先に限界になるかの我慢比べ』

 じんわり汗が滲む美月の胸元に隼人が顔を埋める。繋がりは保ちつつ、じゅわりと濡れた蜜壺の奥で硬さを増す隼人の分身。
その感覚がダイレクトに伝わって、法悦の吐息が美月から漏れた。

「……っん、ぁっん、隼人……好き……」

 乳房の突起に吸い付く隼人の頭をぎゅっと抱え込む。
こんなにも隼人に愛されて、隼人を愛しているのだと実感する。愛しさで心がいっぱいになった。

好きで、好きで、愛してる。

「私……隼人の奥さんでいられて幸せ。本当にそう思う」
『俺こそ美月が嫁さんで幸せだよ。ありがとう。いつも俺のところに帰って来てくれて』

 顔を上げた隼人の瞳に光るのは愛の味がする涙。溢れた雫が隼人の頬を流れて、落ちた。

美月は隼人の目尻に残る涙を舌で舐めとり、自分から彼にキスをする。それが引き金となって、二人の腰がゆらゆら、ゆらゆら、揺らめき始めた。
我慢比べは引き分けだ。

 笑って泣いて愛して愛されて、今夜は心が忙しい。

 あなたといるから、幸せなんだ。
 君といるから、幸せなんだ。
 これからも一緒に、生きようね。
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