裏稼業殺し屋の聖職者はうっかり取り憑かれた悪魔から逃げ切りたい!?
「で、何やったんだ?」
 
 聞いたら面倒なことになりそうだと思いつつ、話が進まないので要求どおり頭を撫で、仕方なく続きを促す。

「大したことはしておりませんわ。私魔王さま不在期間中とーってもがんばったので、ご褒美が欲しいなぁーって言ったら、魔王さまがいなくなった傲慢の穴埋めとして私に彼の持っていた領地と爵位と責任を押し付けようとしてきたので。裁決前に玉璽を叩き割っただけですわ」

 と、パトリシアはさらっと悪事を暴露する。

「は?」

 玉璽を叩き割るなんてちょっとどころの騒ぎじゃないだろう、と思わず声を上げたグレイなんて気にも止めず、

「あとは、リノベーションと称して魔王城燃やしてみたり」

 だってデザインが古臭いんですもの、とパトリシアは話を続ける。

「新しい七大悪魔達が気に入らないので、片っ端から倒して権利剥奪してみたり」

 新体制にするには斬新なアイデアも必要だと思うのです、と主張し、

「そんなことをしてましたら、数年前の身分詐称と無断で境界線を越えたことや現世での不法滞在なんかも諸々バレてしまって」

 国家反逆罪や器物損壊に放火にパワハラ。詐欺に不法滞在、他にも色々と悪びれることなく罪を告白するパトリシア。
 
「あ、でもこれで司教さまに罪を告白して懺悔したことですし、全部チャラですわね!」

 清々しい笑顔で親指を立てたパトリシアに、

「んなわけあるか!」

 罪状が多過ぎる、とグレイは全力でツッコミを入れた。

「で、お前それだけやらかしてよく無事だったな!?」

「そんなこんなで罰として、か弱い人間と変わらないスペックで異界からの不法侵入者を現世で取り締まらなきゃなんですけど、面倒なので匿ってくださいませ」

 グレイのツッコミをさらっと流し、さくっと話をまとめにかかるパトリシア。

「とりあえず、か弱い人間はあんなガラの悪いアヒルを大量に集めてきたり、勝手に隠し部屋に忍び込んだりしねぇよ」

 人間のスペックを過大解釈し過ぎである。
 あのアヒル達どうしたらいいんだよ、と頭を抱えるグレイを尻目に、

「まぁ、大変。常識知らずの異界の存在なんて目の届くところに置いておくのが得策では?」

 パトリシアのプレゼンは続く。

「……その通りなんだが、お前が言うな」

「どうします? 私の事を放り出してもいいですけれど、その場合旦那さまは表稼業も裏稼業も2倍どころか10倍は確実に手間が増えますよ」

 私有害危険物ですよ、と胸を張る悪魔にグレイはチッと不機嫌そうに舌打ちをする。
 それを了承と受け取り、愛おしげに見つめ、

「末永くよろしくお願いいたしますね、旦那さま」

 私から逃げられるとお思いで? と楽しそうに笑ったのだった。


Fin.
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました♪
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