魔女と忌み嫌われた私、売られた隣国で聖女として次期公爵様に溺愛されています
予想通り、レナールとアリーセの二人は注目を集めた。
意外と周囲の目は温かい。国一番の魔法使いでもある次期公爵と聖女の婚約というのもあるが、レナールが婚約者を溺愛しているのも大きいのだろう。
アリーセには想像がつかないけれど、以前のレナールは本当に女性にはとりつく島もなかったらしい。なのに今は婚約者に対して、とびきりの蕩けるような笑みを見せているのだから。
アリーセとしては、無事にファーストダンスを終えられたことで、とてもほっとしている。あとは顔見せもかねた挨拶回りだ。
「レナール。君も意外と俗物だったんだね」
並ぶレナールとアリーセを見て呆れたように息をつくのはユーグだ。彼も今日は夜会用の正装をしている。レナールの婚約が決まった今、独身の令嬢たちはユーグに狙いを定めているらしく「普通、狙う順番が逆じゃない?」とぼやいていた。
「これ見よがしに君の色彩を纏わせるなんて。そんなにアリーセが自分のものだと主張したいの?」
「当然だろう」
レナールは平然としている。それどころかアリーセの腰に回した手に力を込める。
「アリーセは可愛いから、これでも心配したりないくらいだ」
アリーセは恥ずかしくなる。侍女にレナールが青いドレスを選ぶのは自分の瞳の色だからだと教えられたのだ。自分の瞳の色を纏わせることで、自分のものだと周囲に示し満足感を得るのだという。ラウフェンの夜会での生温かい視線の意味がようやくわかった。
それに、どちらかというと心配するのはアリーセの方だ。婚約が決まってもなお、レナールに熱い視線を送る令嬢は多い。
意外と周囲の目は温かい。国一番の魔法使いでもある次期公爵と聖女の婚約というのもあるが、レナールが婚約者を溺愛しているのも大きいのだろう。
アリーセには想像がつかないけれど、以前のレナールは本当に女性にはとりつく島もなかったらしい。なのに今は婚約者に対して、とびきりの蕩けるような笑みを見せているのだから。
アリーセとしては、無事にファーストダンスを終えられたことで、とてもほっとしている。あとは顔見せもかねた挨拶回りだ。
「レナール。君も意外と俗物だったんだね」
並ぶレナールとアリーセを見て呆れたように息をつくのはユーグだ。彼も今日は夜会用の正装をしている。レナールの婚約が決まった今、独身の令嬢たちはユーグに狙いを定めているらしく「普通、狙う順番が逆じゃない?」とぼやいていた。
「これ見よがしに君の色彩を纏わせるなんて。そんなにアリーセが自分のものだと主張したいの?」
「当然だろう」
レナールは平然としている。それどころかアリーセの腰に回した手に力を込める。
「アリーセは可愛いから、これでも心配したりないくらいだ」
アリーセは恥ずかしくなる。侍女にレナールが青いドレスを選ぶのは自分の瞳の色だからだと教えられたのだ。自分の瞳の色を纏わせることで、自分のものだと周囲に示し満足感を得るのだという。ラウフェンの夜会での生温かい視線の意味がようやくわかった。
それに、どちらかというと心配するのはアリーセの方だ。婚約が決まってもなお、レナールに熱い視線を送る令嬢は多い。