別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 そもそも佳純との交際をきっちり報告していたのに、『娘のこと考えてみないか』と何度も頼まれていた。その都度丁重に断っていたが、どうやら芹那は瞬に執着めいた想いを抱いていたようだ。

 瞬ははっきり断り単身で渡仏した。理由は簡単、彼女のサポートは必要ないからだ。

 自分のことは自分でできるし、芹那を連れていくメリットはまったくなかった。むしろ彼女の能力は現職で生かしてもらいたかった。
「俺に話しても的確なアドバイスはできない。直属の上司に相談してくれないか」

 日本に帰ってきてからも芹那はこうして無理やり理由を作っては瞬コンタクトを取ってくる。まだ自分のことを諦めていないのかと思うと頭が痛い。

 芹那は「わかりました」と素直に頭を下げると微笑んで違う話題を口にした。

「来週末、我が家で会食でもどうかと父が申しておりまして、いらっしゃいませんか」

 なるほど、これを言いにきたのかと納得する。ならはっきり言った方がいい。

「あいにく恋人と出かける用事があってね」

「えっ……」

「彼女とは近々結婚する。改めて報告に上がると御父上に伝えておいてくれ」

 芹那は目を丸くし絶句している。

「捜査会議が始まるので」
< 150 / 233 >

この作品をシェア

pagetop