別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 そう言うと瞬は芹那を部屋から追い出した。


 朝一番で始まる捜査会議、参事官の立場にある瞬は会議室で前方のモニターを背に捜査員の報告を黙って聞いていく。

 高齢者を狙った強盗事件が連続で発生、実行役は逮捕されたものの指示役の存在が浮上、10日前から捜査本部が設置されていた。

 凶悪事件を扱う刑事部一課、主犯がこれまでも詐欺リストを使って特殊詐欺の元締めをしていた可能性が高いことが分かったため、知能犯を扱う二課も加わっている。

 しばらくすると、捜査方針を巡って捜査員が言い争いを始めた。犯人確保を強行したい一課と慎重な二課で対立しているのだ。

「そんな不確定な状況で踏み込んだら台無しになる。一網打尽にするにはもっと裏を取ってから確実に行くべきだ」

「そんな悠長なことしていたら、新たな被害者が出るだろう!」

「取りこぼしたら結果的に被害者が増えるのがわからないのか。一課は強引すぎるんだ」

「お前たちがぐずぐずしすぎなんだよ」

 瞬は腕を組みながら彼らのやり取りをしばらく静観し、声を上げた。

「個人の感情で判断するな」
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