別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 同期のふたりは入庁当時からの付き合いで、お互い切磋琢磨し苦労も共にしてきた。様々な思惑が入り組む庁内で気を使わないでいられる貴重な存在だ。

 波多野は瞬と一緒にエレベーターに乗り込んだ。

「いやー、曲者揃いの二課をまとめるのは大変なわけよ」

 誰もいないエレベーターの中で波多野はぼやくが、その本人が一番曲者なのでは瞬は思っている。表情も言動も明るく人当たりはいいが、観察眼は鋭く油断できない。

「ところで鮫島、ここ最近生き生きしてる気がするんだけど、なんかいいことでもあった?」

 早速その観察眼が仕事をしたようだが、無視してエレベーターを降りる。

 波多野は当然のように執務室までついてくると、勝手にサーバーからコーヒーを注ぎソファーに座った。

(……少しだけ付き合うか)

 瞬もコーヒーを片手に向かい側に腰を降ろす。

「波多野、三歳くらいの子ども喜ぶような場所を知らないか? 疲れさせたくないからあまり遠くない方がいいんだが」

「なんで? お前んとこの姪っ子ちゃんたしか今小学生だよな」

 意外な質問だったのか、波多野は首を傾げる。

「息子を連れて行こうと思って」
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