本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
「はい。ドライブ行きまーす」

何も言わない私に獅音はそう言って車を発進させてしまった。

ドライブか…

「あー…あははは」

「俺といんの嫌?」

「いや?」

いやなわけ…ない。

「あっそ」

あからさまに不貞腐れた返事が返ってきた。

「違う違う! NOの意味だよ! いいやだよ、い、い、や!」

すると少し目を広げて私を見てからクスッと笑う。

「そんな慌てなくても。くくくく」

本当そう。
私も何でこんな必死に否定したのかわからない。

そして自然と自分から獅音の腕を掴んでしまっていた事に気づいてそっと手を離した。

するとすっと横から手が伸びてきたかと思えば、手を繋がれた。

ハッと運転する獅音を見る。

「いや?」

そう言ってキュっと一瞬握る力が加わり、私を見る。

いや…じゃない。
昨日も繋がれたし。

「皆んなにしてるならいや」


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