本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
私はそう言ってキュッと手を握り返した。

「くははっ! なんだそれ。やきもちか?」

「別に? 違うし」

これはやきもちだ。
身の程知らずのやきもちだ。

獅音を睨めば何故だかどこか嬉しそうに、握った私の手ごと上下に揺らす。

でも不思議と振り解けない。
絶対皆んなにしてる。

私だけにしてよと心の中で思ってる自分がいて、変な感覚だ。

獅音は変わらず片手でハンドルを持ちウィンカーなども器用に操作している。

握った手もハンドルを持つ手も大きくて男らしい。

爪は短く切り揃えてあって清潔感を感じられた。

運転も意外と安全運転というか。

「運転好きなの?」

「好きだよ」

私を見て言う。
その瞬間ドクンと大きく胸が高鳴って、ドキドキと鼓動が加速する。

運転の事なのに。

「仕事に行く時は迎えに来てもらわないの?」

そんな私に気付かれないようにポーカーフェイスを貫く。

「他のメンバーは迎えに来てもらってる奴もいるけど、俺は自分で行けるところは基本自分で行くかな」


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