殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。
 それに、レンデルのそういう表情を見るのは新鮮で可愛いとさえ、思えてしまう。

(そういえば……初めて名前で呼ばれたわ。しかも呼び捨てで)

 いつもは「君」とかだし、そもそも呼ばれることがない。子供時は人前では『キャサリン』と呼ぶので、そちらの方が慣れてしまっている。
 セレスティンの心臓は、またドキドキと高鳴ってしまう。微妙な空気が2人を包み込んだ。

 しかし、そんな2人とはよそに皇后の執務室では、側近のテリーに情報を聞いた皇后は紅茶が入ったティーカップに口をつけていた。
 ゴクッと一口飲むと、ティーカップをテーブルの上に置く。

「まぁ、いいわ。上手く誤魔化せたのなら。それよりも、アンナっていうメイドの子が邪魔ね。あの子がうっかり口を滑らす前に始末をしてちょうだい」

「承知しました」

 テリーは頭を下げると部屋から出て行ってしまった。皇后は、はぁ~と大きなため息を吐く。

「……まったく。私の計画に邪魔する者が多過ぎるわ」

 皇后の企みの意味することとは……まだ誰も知らない。
 だがしかし、事件はそれだけでは終わらなかった。

 翌朝、アンナがメイド寮の自分の部屋で首吊り自殺した状態で発見された。
 引きこもっていたアンナに食事を持ってきた友人の子が第一発見者となった。
 どうして分かったのかというと、窓が開いていてカラスの鳴き声が部屋の中まで聞こえてきたらしい。アンナはカラスが嫌いなのでおかしいと思ったとか。
 メイド寮で起きた自殺行為に、他のメイドたちは恐怖で震え上がった。レンデルは、騎士団の人たちを連れて、それに関して捜査することにする。
 もちろん、そこにはキャサリンのふりしてセレスティンも同行する。
< 53 / 141 >

この作品をシェア

pagetop