殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。
 部屋に入ると、周りはカラスの羽で散らばっていた。アンナは大きな窓のカーテンのレールにロープをかけて、首を吊っている状態になっていた。
 格好は寝る前だったのか、ワンピースタイプのナイトガウン。

「うっ……」

 二度目の死体に、セレスティンは気持ち悪くなるが、なんとかハンカチを口に押さえて耐える。

(これは本当に自殺かしら? それとも他殺?)

 罪を意識して、その罪悪感で自殺をしたと考えられなくもないが、セレスティンの中では納得が出来なかった。

(いくらなんでも急に自殺なんかする? それにカラスが嫌いなら窓は開けないでしょ?)

 言っていた言葉といい、不可解なことが多過ぎる。
 そもそもアンナは、今回のカトリーヌの時間に大きく関わりがあった人物だ。
 もし事件に関係しているとしたら、大事な証言人になっていたかもしれない。もしかしたら犯人の場合だって。
 その時だった。周りが騒ぐなと思ったら、ウィルモットが、メイド寮に足を運んできたようだ。

(えっ? 彼が……どうして!?)

 そもそもウィルモットは絶対と言っていいほどメイド寮に来ることはなかった。

「お前が、どうしてこっちに? 何の用だ?」

 彼はメイドは下の者がなるものだと思い、普段から見下して名前すら覚えなかった。
 だから興味も抱かないし、何をしていようが気にも留めない。
 なのに彼が自ら来るとはセレスティンだけではなく、レンデルも思ってもみなかった。

「何だ? 俺がここに来たらまずいのか?」

「いや……そうではないが」
< 54 / 141 >

この作品をシェア

pagetop