殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。
「俺も皇帝になる者として、下の者の状況を知っておきたかったんだ。なにやらメイドが1人自殺したみたいじゃないか?」

「……そうだが」

「ふ~ん。メイドが……それは気の毒だな

 そう言ったウィルモットは、手で口元を隠した。だが、背の低いセレスティンは見てしまった。隠してはいたが、彼の口元は微かにニヤリと笑う姿を。
 まるでアンナの死を喜んでいるかのように見えた。

(えっ? 今……笑った!?)

 セレスティンは、ウィルモットの表情に驚く。しかし彼の方は、子供の姿になったセレスティンに気づくと、また暴言を吐いてきた。

「おい、どうして? こんな場所にあの時のガキがいるんだ?」

 たしかに、こんなところに子供がいるのは変に思ってしまうかもしれない。ギクッと震え上がると、レンデルは冷静に、

「この子、好奇心旺盛でお転婆なんだ。あちらこちらと動き回るから、この子の母親の出産が済むまで、しばらく我が家で預かっている。邪魔はさせないから、放っておいてやれ」

 そう言って返してくれた。セレスティンは思わずレンデルを見てしまう。

(よく、そこまで噓が思いつくわね?)

 なにかと絡んでくるウィルモットにも困ったものだが、レンデルが意外と噓が上手いことに驚いた。噓つくのは苦手だと思っていたからだ。

「まったく。ガキの遊び場じゃないぞ? ここは……さっさと追い出せ」

「ああ……」

 レンデルは適当に返事をするが、私を見るとクスッと笑ってくれた。普段の彼とは違う表情に胸が熱くなっていく。
 結局、ウィルモットがいるので曖昧な捜査しかできなかった。だが、帰り際にレンデルが教えてくれた。
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