訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


「あなたは一つ一つ丁寧に答えてくださり、ホスピタリティに溢れていて頭の回転も早く聡明な方だとお見受けしました。しかも先程の件であなたしかいないと確信しました」
「ええっ!? 何故ですか?」


 他の男性との子を妊娠していると言えば諦めてくれると思って本当のことを打ち明けたのに、予想外の反応だった。


「これは家族にも話していないことなのですが、私は無精子症候群なのです」
「え……」
「烙条の跡取りでありながら子どもが作れないことがコンプレックスでした。弟は既に結婚して子どももいるのに……」


 淪太郎は俯いてぎゅっと拳を握りしめる。
 俯いた表情からは悔しさとやるせなさが滲み出ている。


「どうしたらいいのか悩んでいた時、あなたと出会いました。これは運命だと思っています」
「烙条さん……」
「水鏡さん、あなたが誰を愛していても構わない。どうか私と結婚してくださいませんか?」
「で、でも……」
「私と結婚してくださるのなら、あなたもあなたのお子さんのことも私が全力で守ります」


 淪太郎の真っ直ぐな眼差しから真摯な思いは伝わった。
 だが、それでも「わかりました」と簡単に頷ける話ではない。


「私の子なのに烙条さんには背負わせられません」
「背負わせて欲しいんです。あなたの子ならきっと愛せます。子どもが作れない私は救われるんです」


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