訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 淪太郎が真面目な人なのだろうということは、この短いやり取りの中でも感じている。
 それでも迷いが生じて答えられずにいる陽鞠に、淪太郎は更に畳み掛けた。


「あなたにとっても悪くない話のはずです。お一人で育てるとおっしゃっていましたが、実際はとても大変でしょう?」
「!」
「うちは昔ながらの日本家屋で部屋は有り余っているし、広い庭もあります。育児環境には最適かと」
「で、でも……!」
「お金にも不自由させません」
「っ!」


 本音を言うと、妊娠しているとわかった時嬉しさよりも不安の方が勝ってしまった。

 結ばれなくても愛する人との子を身籠ったことは嬉しいけれど、一人で産み育てる自信は正直なかった。
 両親は海外だから頼れない。何かあっても自分一人でどうにかしなければならない。

 仕事と両立していけるのかなど、不安なことばかりで押し潰されそうだった。

(烙条さんと結婚すれば、その心配はなくなるの……?)

 なんてとんでもないことを考えてしまったのだろうと思った。


「……あなたを利用するようなこと、できません」
「利用していいじゃないですか。私だって同じようなものです。互いに利害が一致しているじゃありませんか」
「そんな結婚なんて……」
「最初は利害関係だけで構いません。それでもあなたと夫婦になれるように努力しますから」
「烙条さん……」


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