訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 陽鞠は悩み抜いた挙句、淪太郎のプロポーズを受けることにした。
 今でもまだ迷いはあるが、淪太郎はとても喜んでくれた。

 常識的にあり得ないことだとは思う。
 それでもプロポーズを受ける決意をしたのは、子どものためだった。

 自分一人で育てるより、父親もいる中で何不自由なく育てることが子どもにとって最善だと思ったのだ。
 また、淪太郎の真摯な思いに心動かされたのは事実だし、この人と一緒なら良い家庭を築けるかもしれないと思った。

 永遠に叶うことのない恋などさっさと忘れ去ろうと思った。

 そこからはトントン拍子で事が進んで行った。
 両家族への挨拶、職場への挨拶。大好きな仕事を辞めることになるのは辛いけれど、仕方のないことだ。

 両親は陽鞠の突然の結婚と妊娠の報告にとても驚いていたが、心から祝福してくれた。
 挙式までには必ず帰国するし、母は出産までの間は日本にいると言ってくれた。

 淪太郎の両親もとても優しく、陽鞠のことを温かく迎え入れてくれた。


「淪太郎はなかなか良い人に恵まれなかったけど、陽鞠さんのようなお嬢さんが来てくれて嬉しいわ。それに子どもまで……きっと淪太郎に似たかわいい子でしょうね!」
「やめてくれよ、母さん」


 生まれてくる子どもは淪太郎との子ということにする。
 これは結婚前に淪太郎からそうして欲しいと頼まれたことだった。
 淪太郎が無精子症候群であることは誰にも秘密だし、陽鞠は了承した。

(いつかは生まれてくる子に本当のことを話さなきゃいけなくなるかもしれないけれど、その時はしっかり私がフォローしよう)


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