訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 父親と血の繋がりがないと知ったら、傷つくかもしれない。
 エアウイングではこう教えられてきた。トラブルが起きた時、どのように対処するかどうかが大事だと。

 子どもが傷つくことはきっと避けられない。だけど、傷ついた時にどのようにフォローしてあげられるかどうかが大事なはずだ。

(淪太郎さんとならきっと大丈夫)

 そう信じて結婚した。
 仕事は退職し、東北に引っ越した。姓は烙条に変わった。

 それから陽鞠は男の子を出産し、名前は叶空(とあ)と名付けた。
 珠のような我が子を腕に抱いた時、言葉にできない愛おしさで胸がいっぱいになった。


「叶空……生まれてきてくれてありがとう」


 これからは自分の全てを懸けて叶空を守ろうと誓った。


「陽鞠、よく頑張ったね」
「淪太郎さん」
「これから二人で頑張ろう」
「はい!」


 新しい家族と共に陽鞠の新しい人生が始まる。
 このスタートは順調なものだとこの時は疑っていなかった。

 まさかここから地獄が始まるなど、陽鞠は想像もしていなかった。


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