訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 本当はしっかり涙ぐんでいた。
 涙を堪えての食事を終えたら芽衣と合流することになっていた。


「陽鞠!」
「芽衣! 本当に今回はありがとう」
「いえいえ、制服のままでごめんね」


 芽衣は先程と同じCAの制服を着ている。RALのCAの制服はスカーフの色、デザインが複数種類あり、その日の気分によって変えることができる。
 芽衣は水色のスカーフで爽やかに決めていた。


「こちら、私の旦那でGS部の部長・西田(にしだ)(あきら)よ」
「西田です、よろしくお願いします」
「改めまして、水鏡陽鞠です。よろしくお願いします! こちらは息子の叶空です」
「叶空くんもよろしくね」


 叶空は恥ずかしがっていたけど、きちんと挨拶していた。芽衣は「かわい〜!」と既にメロメロだった。
 社内会議室に移動し、詳しい業務の説明や勤怠に関すること、託児所等の説明を受けた。託児所にはこの後改めて挨拶に行くことになっている。


「色々と事情は聞いています。できるだけサポートしますので安心してくださいね」
「ありがとうございます」


 少し話しただけで西田の優しくて誠実な人柄が伝わり、この人が上司になるのだと思うと信頼できる。
 陽鞠は芽衣に耳打ちした。


「素敵な旦那さんだね」
「でしょう? 私から猛アタックしたの」


 幸せそうな芽衣を見て陽鞠も嬉しくなった。


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