冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「あと一週間。長かったようで短かったなぁ」
 私は二十八歳だけど、看護師を目指して勉強をしている大学四年生。
 なぜ今になって看護学生となったのか。それには理由がある。
 入学前は高卒で採用された会社で事務員として働いていたけれど、六年前に他界した母の遺言にあった『私の叶えたい夢を叶えて』という言葉に背中を押され、私が貯めた資金と、私あてに残された遺産をありがたく使わせてもらいながら看護師になるために進学したという経緯がある。 
「あと少し。頑張らなきゃ」
 本日は休日。今週の疲れを取るために午前中は自由時間で午後から勉強。
 ストレッチをして、白湯を飲んで、録画していたドラマを再生しながら朝食を食べる。
 実習期間はリフレッシュしながら勉強もしなくてはいけない。そこのバランスを上手く調節する必要があるのだけれど、これがまた大変だったりする。
 勉強や実習は大変ではあるけれど、諦めかけていた夢のために生きている日々がこれまでの社会人としての生活と比べものにならないくらい輝いている気がして、充実した日々を過ごしている。
 ただし、恋愛は除く── 
 
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