冷徹ドクターは初恋相手を離さない
時が流れるのは早い。
手術中の荒木先生や麻酔科の先生との会話や外回り看護師の仕事をこなしながら説明をしてくれる志田さんの話を聞いたり、器械出し看護師さんの素早い介助などいろいろ見ていたら、あっという間に時間が経過していた。
スムーズに手術が進行していて、スピーディー。手術室のメンバーの手際の良さももちろんだが、荒木先生の腕の良さが素人目に見てもわかる。
(荒木先生、すごいな……)
助手として入っている研修医の先生に手術の展開や手技を教えながら、任せられる部分は任せて指導しながら手術をしている。
荒木先生は今回のオペで助手に入っている研修医の先生には結構慕われているようにも見えるから、やはり賛否両論分かれるような人なのだろう。
そして、手術が始まってからしばらく経つとセンチネルリンパ節への転移の有無を調べるために採取した検体を病理検査室へ届けるために志田さんは走っていった。その後十分程度で志田さんの持っているピッチが鳴る。
「はい外回り看護師志田です。はい、はい。今変わります」
志田さんが電話を荒木先生の近くに持っていく。
「荒木です。……はい。わかりました。ありがとうございました」
荒木先生は淡々と受け答えをした後、一旦手を止めて麻酔で眠る吉村さんの顔を見た。
「転移なし。よかったですね、吉村さん」
麻酔で眠っている吉村さんに優しく語りかける。その声は本当に穏やかで、慈しみを感じる。
「はい、じゃあこのままがん取ったら閉じるよ」
「はい」
その声は、力強くて頼もしく感じた。
今気づいたことだが、手術室に流れる曲はクラシックが多かった。曲をバックに先生は慣れた手つきで迷いなくメスを進めていく。クラシックが流れる中で執刀する姿は、洗練されていて気品に溢れていて目が惹かれる。
そして何より、全身麻酔であろうと患者に優しく語りかける患者思いな一面もあって、とても信頼できる医師だと思った。
私がもし患者であったら、真摯に向き合ってくれる彼を知れば安心して手術に臨めると思う。
手術中の荒木先生や麻酔科の先生との会話や外回り看護師の仕事をこなしながら説明をしてくれる志田さんの話を聞いたり、器械出し看護師さんの素早い介助などいろいろ見ていたら、あっという間に時間が経過していた。
スムーズに手術が進行していて、スピーディー。手術室のメンバーの手際の良さももちろんだが、荒木先生の腕の良さが素人目に見てもわかる。
(荒木先生、すごいな……)
助手として入っている研修医の先生に手術の展開や手技を教えながら、任せられる部分は任せて指導しながら手術をしている。
荒木先生は今回のオペで助手に入っている研修医の先生には結構慕われているようにも見えるから、やはり賛否両論分かれるような人なのだろう。
そして、手術が始まってからしばらく経つとセンチネルリンパ節への転移の有無を調べるために採取した検体を病理検査室へ届けるために志田さんは走っていった。その後十分程度で志田さんの持っているピッチが鳴る。
「はい外回り看護師志田です。はい、はい。今変わります」
志田さんが電話を荒木先生の近くに持っていく。
「荒木です。……はい。わかりました。ありがとうございました」
荒木先生は淡々と受け答えをした後、一旦手を止めて麻酔で眠る吉村さんの顔を見た。
「転移なし。よかったですね、吉村さん」
麻酔で眠っている吉村さんに優しく語りかける。その声は本当に穏やかで、慈しみを感じる。
「はい、じゃあこのままがん取ったら閉じるよ」
「はい」
その声は、力強くて頼もしく感じた。
今気づいたことだが、手術室に流れる曲はクラシックが多かった。曲をバックに先生は慣れた手つきで迷いなくメスを進めていく。クラシックが流れる中で執刀する姿は、洗練されていて気品に溢れていて目が惹かれる。
そして何より、全身麻酔であろうと患者に優しく語りかける患者思いな一面もあって、とても信頼できる医師だと思った。
私がもし患者であったら、真摯に向き合ってくれる彼を知れば安心して手術に臨めると思う。