冷徹ドクターは初恋相手を離さない

第7話

 実習後、学生たちは今まで頑張ったご褒美ということで、授業のない日に旅行やライブ、食べ歩きなど各々が四年間の自分を最大限に労うためにどこかへ出かける人が多かった。
 私の学校では、統合実習を終えるとすべての臨地実習を修了したこととなり、残りは卒業研究をメインに、いくつかの座学の科目のみとなる。登校頻度も週に二、三回となったのも理由の一つだろう。

「はぁ……そろそろ裕太とのことも考えなきゃな……」
 今日はカフェでチョコレートパフェを一人で楽しむためにお気に入りのカフェに来ていた。
 病院の食堂で荒木先生に裕太との関係性がバレて提案された偽装恋人の件。提案されたからには作戦を自分で考えていた。荒木先生には彼氏として振る舞ってもらい、浮気の証拠を見せつけた上で別れを切り出す作戦だ。
 そんな上手くいくかはわからないが、私だけで挑むよりは成功率は高いだろう。
 荒木先生には迷惑をかけてしまうけれど、彼から提案してくれたわけだし、あんなメッセージまで送ってきたのだ。荒木先生のことをあくまで『偽の』だけど彼氏と思っても構わないってことだよね……?
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