冷徹ドクターは初恋相手を離さない
二人で撤収作業をしたため、十分程度で撤収ができた。しかし、片付けが終了しても、直哉さんの姿は見えなかった。
「じゃあ、おつかれさまでしたー! この後も仕事があるので、お先に!」
笹原さんは急いでいる様子でトートバッグを肩にかけて出ていった。次の仕事がすぐにあるのだろう。とても忙しそうだ。
「おつかれさまでしたー」
笹原さんが猛ダッシュで帰っていったのを見送り、直哉さんにメッセージを送信しようとスマホを見る。すると、メッセージアプリに新着のメッセージが来ていたので、タブをタップして通知を開くと、直哉さんからちょうどメッセージがあった。
『駅ビルで待っていてくれ。三十分程度で戻る』
『はい、わかりました』と簡単に返信を済ませ、最近ダウンロードしたペンギンが敬礼しているスタンプも一緒に送ってみた。
誰もいなくなった部屋の電気を消して、私もこの部屋を出た。
「やっぱり直哉さん、忙しい中で私との時間を作ってくれていたんだ……」
直哉さんは私が寂しくならないように会える時間や休みの日を作ってくれていた。
来年から私は看護師として働くことになるけれど、果たしてそんな器用なことができるのだろうか。
未来の自分や直哉さんとの関係にほんの少し不安を抱きながら、図書館からとぼとぼと退館した。
それから直哉さんが戻ってくるまで駅ビル内で時間を潰そうとしていたが、とりあえず駅前広場のベンチに座って休憩しようということでそちらに向かう。天気もいいし、近くのコーヒーショップに立ち寄っていこうかな、なんて考えながら歩いてた。
何を頼むか悩みながら期間限定の焼き芋フラペチーノを頼み、ルンルン気分でベンチに向かう。すると、駅前広場の芝生エリアに何かを囲うように人が集まっていたので、何事かと思い様子を見に行った。
「何か……って、大丈夫ですか!?」
すると、人混みの隙間から男性が倒れていたのが見えた。
私は反射的に人混みを掻き分けて倒れている男性のもとに駆け寄る。フラペチーノを傍に置いて男性に声をかけた。
「聞こえますか! 聞こえますかー!」
周囲の安全を確認しながら私は立ち膝の状態になり、両肩を軽く叩いて声をかけて意識の確認をする。
「意識なし……」
(なんでこんなに人がいるのに誰も何もしないの……!?)
私はふとそんなことを思ってしまった。
しかし、それはすぐに過去の自分ならこの場にいる人々と同じく一歩踏み出せないでいたかもしれないと気づき、考えることをやめた。
「じゃあ、おつかれさまでしたー! この後も仕事があるので、お先に!」
笹原さんは急いでいる様子でトートバッグを肩にかけて出ていった。次の仕事がすぐにあるのだろう。とても忙しそうだ。
「おつかれさまでしたー」
笹原さんが猛ダッシュで帰っていったのを見送り、直哉さんにメッセージを送信しようとスマホを見る。すると、メッセージアプリに新着のメッセージが来ていたので、タブをタップして通知を開くと、直哉さんからちょうどメッセージがあった。
『駅ビルで待っていてくれ。三十分程度で戻る』
『はい、わかりました』と簡単に返信を済ませ、最近ダウンロードしたペンギンが敬礼しているスタンプも一緒に送ってみた。
誰もいなくなった部屋の電気を消して、私もこの部屋を出た。
「やっぱり直哉さん、忙しい中で私との時間を作ってくれていたんだ……」
直哉さんは私が寂しくならないように会える時間や休みの日を作ってくれていた。
来年から私は看護師として働くことになるけれど、果たしてそんな器用なことができるのだろうか。
未来の自分や直哉さんとの関係にほんの少し不安を抱きながら、図書館からとぼとぼと退館した。
それから直哉さんが戻ってくるまで駅ビル内で時間を潰そうとしていたが、とりあえず駅前広場のベンチに座って休憩しようということでそちらに向かう。天気もいいし、近くのコーヒーショップに立ち寄っていこうかな、なんて考えながら歩いてた。
何を頼むか悩みながら期間限定の焼き芋フラペチーノを頼み、ルンルン気分でベンチに向かう。すると、駅前広場の芝生エリアに何かを囲うように人が集まっていたので、何事かと思い様子を見に行った。
「何か……って、大丈夫ですか!?」
すると、人混みの隙間から男性が倒れていたのが見えた。
私は反射的に人混みを掻き分けて倒れている男性のもとに駆け寄る。フラペチーノを傍に置いて男性に声をかけた。
「聞こえますか! 聞こえますかー!」
周囲の安全を確認しながら私は立ち膝の状態になり、両肩を軽く叩いて声をかけて意識の確認をする。
「意識なし……」
(なんでこんなに人がいるのに誰も何もしないの……!?)
私はふとそんなことを思ってしまった。
しかし、それはすぐに過去の自分ならこの場にいる人々と同じく一歩踏み出せないでいたかもしれないと気づき、考えることをやめた。