冷徹ドクターは初恋相手を離さない

第13話

 季節は秋が終わりすぐに冬が到来。
 生活費の足しにするために続けていたバイトを十二月末まで続け、一年が終わると、あっという間に二月の国家試験当日がやってきた。年明けからは国家試験に落ちてはいけないというプレッシャーを感じながら過去問題集を解いてひたすら勉強の日々を過ごしていた。そして見事合格し、晴れて看護師となった。

 それから四年が経ち、私は看護師四年目となった。直哉さんとは看護師二年目に結婚し、同年の秋に挙式した。
 世愛総合病院の乳腺外科に配属され、そこで新人時代を過ごして一通りの業務はすべて自分だけでこなせるようになった頃だ。
 急性期病棟はバタバタとしていて慣れるのに苦労したけれど、乳がん患者の看護について学ぶ日々は楽しく、やりがいを感じている。

 そして今、私のおなかには新たな命が宿っていた。
 大きくなっていく我が子への愛情が芽生える一方で、私の体調は妊娠初期に比べるとだいぶ軽減したものの私の身体は妊娠によって大きく変化しているせいか非妊時のような元気さはなくなってしまっていた。
 それでもしっかりと産休までは働かなくてはいけないと思っているが、夜勤の免除や移乗介助などの力仕事を避けたり適度な休憩をとらせてもらったりと迷惑をかけていると思うこともある。それは重々承知の上でメンバーに感謝をして仕事をしている。
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