向日葵の園
目が覚めたら視界は真っ白だった。

一点の曇りもない、ただの白。

自分の腕に繋がれた透明のチューブを流れていく液体だけがやけに赤い。
チューブは床の下に通されているのか、
先っぽが見当たらない。

私の血液。
だけど痛みは少しも感じない。

ひどく喉が渇いている。
四肢は鎖で繋がれていて、重みも冷たさも感じない。
ただ、触れたら一瞬で砕けてしまいそうにカラカラになっている手首や足首が恐ろしかった。

もう一つ。
白以外の色を見つけた。

目の前のモニターの中に広がっている、
あの向日葵の園。

雨は上がったのか、
気持ちよさそうな太陽の光の下で
そよそよと風に揺れる向日葵。

録画かもしれない。

今がいつなのかも分からない。

「あぁ。目覚めたんだね。ここまで来て意識を取り戻すなんて。きみには本当に驚かされるよ」

「わた…し…生き、て…」

「ん?うん、そうだよ。きみはまだ生きてるよ」

「これ…」

「ふふ。見てて」

憂さんが私の前にしゃがんで、目を合わせてにっこりと微笑んだ。

あの、太陽の微笑み。

それから爪の先で、
私の砕けてしまいそうな腕をカリッと引っ掻く。

ぽろ、ぽろと溢れてくる種。

「これはあの向日葵畑…きみの言い方だと向日葵の園に蒔くよ。毎年、毎年、沢山ね。それからコレはね」

グッとチューブを持ち上げる。
腕とチューブを繋ぐ為に刺されていた針がピンッと突き刺さるようにタテになったけれど、
痛くはない。

「この下から通して、向日葵の園に繋がっているんだよ。ヒマワリちゃん、きみはあの子達の水、養分になるんだ。真の希望のシンボル。女神様の血液が養分になり、翌年にはきみの種が美しく咲き誇るだろう。ここは永遠の楽園になるんだよ」
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