向日葵の園
「んー…あのね、実はさ、綴が行ってみたいって」

「行ってみたいって、別荘に?」

「うん…。せっかくの夏休みなんだからいつもと違うことがしたいって。ほら、都…綴の彼氏ね、」

「陽毬の片想い相手くんね」

「お姉ちゃんっ!」

「ごめんごめん。で?」

「陸上の全中控えてるって言ったでしょ?最終の追い込みが本格化する前に休みがあるんだけど。息抜きと決起集会を兼ねて、泊まりに行きたいって…」

「そんなこと許可できるわけないでしょ、子ども達だけで。お母さん達も絶対に許さないよ」

「だーかーらーお姉ちゃんにお願いしてるんじゃんかぁー」

「はぁ?まさか同伴してほしいってこと!?」

「その通りです」

「バカ言わないでよ、忙しいって何度言えばっ…」

「大学生のほうが夏休み、うんと長いじゃん」

「私の夏休みはねぇ、ほとんど実験に追われてんの!」

「たったの三日間くらいお姉ちゃんだって息抜きが必要でしょ!だってお姉ちゃんの彼氏が都市伝説の中心とかそんな奇跡ないじゃん…お願いします、これでうまくリフレッシュができれば都だっていい結果残せるかもなんだよぉ」

「都くんだけの為なの?」

「…ついでに思い出作り」

「思い出?」

「最後にみんなで旅行して、学校に居る時よりも長く一緒に過ごして、それを区切りに諦めたい…」

「…恋を?」

「うん…」
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