向日葵の園

最初の一歩で捕まえた

「んーっ!やっぱここまで来ると風が気持ちいー!」

車から降りて、
綴が本当に気持ち良さそうに大きく伸びをする。

「ほんとだな」

来るまでは渋っていたくせに、
都も腰に手を当ててストレッチみたいなことをしながら
綴と同じように、気持ち良さそうに深呼吸している。

「憂さん、本当にありがとうございます」

私の声が号令になったみたいに、
続いて綴と都もペコって頭を下げた。

「ぜーんぜん!俺と日和も研究室に篭りっぱなしでカビ生えちゃいそうだったしさ。誘ってくれて助かったよ」

お姉ちゃんに相談した翌日には憂さんに話してくれて、
私の不安を他所に、あっさりと快諾してくれた。

許可を貰うには一番心配だったお母さんとお父さんだったけれど
お姉ちゃんと憂さんが同伴するということで、二人とも特に渋ることなく許可してくれた。

両親の中で憂さんへの安心・安全度はアツい。
おまけに私とは雲泥の差の、お姉ちゃんへの信頼感。

綴と都のご両親も「陽毬ちゃんのお姉ちゃんが一緒なら安心ね」って言っちゃう始末。

このことを告げた時のお姉ちゃんの得意げな笑顔、絶対に忘れないんだから!

そんなこんなで、憂さんは車まで出してくれて、
道中、おやつとか三日間必要な食料品や日用品を買い込んだりしながら
私達は山奥の、噂の都市伝説の舞台までやって来た。

町では有名な、本当の場所に自分が居るなんて
不思議な気分だ。
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