向日葵の園
「綴と都は?」

「二人で魚釣り」

「魚釣り?」

「山に入ってちょっとしたら川が流れてるんだって。川魚がよく釣れるんだって憂が言ったら二人ともやってみたいって喜んで出掛けて行ったわよ。陽毬も行くなら送っていこうか?山で迷子になられても困るし」

お姉ちゃんは私のことをとことん子供扱いするけれど、
五歳も離れていたらしょうがないのかな。

確かに、私からしたら九歳、小学三年生の子を対等に扱えるかって言われたら自信はない。

「ううん。ちょっと散歩したい」

「またぁ?どうせ向日葵でしょ」

「昨日は夜だったからさぁ。やっぱこんな晴天の下で見たいじゃん。あんなに立派なんだし」

「程々にしなさいよ?この辺、熊が出るって言うじゃない」

「あ、聞いた?その時はその時でしょ」

「まったく…」

「お姉ちゃんは何すんの」

「憂がね、写真撮りに行ってるのよ。戻ってくるまで昨日の片付けでもやっておくわ」

「憂さん、そんな趣味があったの?」

「珍しい植物や動物を見つけたらね。後から研究に活かせるようにって」

「ふーん。お姉ちゃんもせっかくだから出掛ければいいのに」

「課題もあるんです。言ったでしょ。そんなに暇じゃないって」

お姉ちゃんってば。
放っておいたら本当にこのままカビが生えちゃうんじゃないか、心配になる。
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