向日葵の園
「都、全中っていつだったけ?」

綴が「曲がってるよ」って、
都のネクタイに手を伸ばしながら訊いた。

私も気づいていたけれど
こんな風に直してあげる役目は私じゃないって分かっていたから動けなかった。

「八月十七日から二十日までだな」

「四日間もあんの。大変だね」

「スケジュールエグいからな」

「都はしっかり優勝候補なんでしょ?」

「そうだよ、ひまー。一緒に応援行こうね」

「えー。綴だけ行きなよ。暑くて死んじゃうよ」

「えっ。ひま、来てくんないの?親友の勇姿、見届けないのかよー」

都は陸上部のエースだ。

一年生の頃からいくつのも試合でメダルを貰っている。

去年はギリギリ、「全日本中学校陸上競技選手権大会」には進めない成績だったけれど、
この一年間でグングン成績を伸ばした都の名前を、県内で知らない中学生の陸上部は居ないほどだった。

専攻は100m走と、
400m走リレーでアンカーを任せられている。

都はきっと優勝できる。

盲目的にそう信じているけれど、
そんなかっこいい姿見ちゃったら
きっともっと好きになっちゃうじゃん…。
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