向日葵の園
無言でベッドルームを飛び出した。
綴は俯いたまま立ち上がらなかった。

ここに都を連れてくる。
許されたと勘違いして、一瞬の光を見た綴を闇に突き落としてやる。

「都!」

都のベッドルーム。
一人では満足に出歩けないから、都はベッドに上半身だけを起こして、
ヘッドボードにもたれるようにしていた。

掛け布団は剥がされている。
だらりと投げ出すようにしている右足の、
憂さんが巻いた包帯がやけに緩んでいるように見えた。

「ひま」

「都、一緒に…」

「ひま」

「都…?どうしたの?」

「なぁ。俺の足、見てくれない?変なんだ」

「変?」

「変なんだ。なんにも感覚が無いんだ」

「…薬が効いてるんじゃないの?」

「なんにも…無いみたいなんだ」

「無いって…」

ゆっくり近づいて、都の右足にそっと触れる。
指先が包帯に触れて、飛び跳ねるようにその手を引っ込めた。

無い。

物理的に、都の足が、無い。
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