向日葵の園
包帯の上からでも分かる。
鍛えられた筋肉と、ゴツゴツとした骨。
その感触が、感じられないことに。

海岸で見つけるみたいな、
乾いた細い木の棒。
血液が流れる肌の熱も、何も無い。

「なぁ…俺の足、どうなってんの」

「みやっ…」

「俺、走れんの?また来年まで耐えればっ…なぁって!なんとか言ってくれよ!」

「ごめ…ごめんなさい都…ごめん…」

「お前らだろ!こんなとこ連れてきて!閉じ込めて!俺の足どうなってんだよって!お前らの責任だろ…なんか言えよぉっ…!」

「あーあ。タイムオーバーだったか」

背後から囁かれた声に振り向く。
ドアにもたれるようにして憂さんと、首に腕を回されて、銃口をこめかみに当てられた綴が目を見開いて私達を見ている。
手首は背中側で、ロープで縛られている。

「憂さん…あなたが仕組んだんですね。都が骨折するように…」

「うん。面白かったよ。俺がわざわざ仕組まなくても、どいつもこいつもみーんな義務みたいに闇を抱えてんだなって」

「都は希望しか持ってなかった!どれだけ努力してきたか、全中に賭けてた想いを知らないくせに!」

「それがいっちばん、ゾクゾクするんだよねぇ。希望が打ち砕かれていく瞬間。それを俺の手で救ってあげるんだ。絶望から解き放たれた人間達には欲も喪失も恐怖も手放すことができる。感謝されたいくらいだよ」

「都から夢を奪っておいて…一体何をしたんですか。なんなんですか、これは」

「あぁ」

憂さんが綴を引きずりながら都に近づいた。
躊躇なく、憂さんの手が都の足に巻かれた包帯を解く。

思った通り、枯れて今にも折れそうな、
本物の木、みたいな、棒。

「なんだよこれぇ…」

都の震える声に呼吸が止まりそうになる。
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