ラスボスの夫に殺される悪役令嬢として転生したので、生き残ってみせる!と意気込んでいたらなぜか夫がデレ始めて戸惑っています
(これは、一体、どういうこと………?)

 夕食の時間になりダイニングで自分の席に座ると、何故か来るはずのないクロークがやってきてキャロラインの目の前の席に座った。近くにはレオが静かに立っている。

(え?なんで?どうしているの?)

 不安になってレオを見ると、レオはキャロラインの視線に気づいてニッコリと微笑む。

(うっ、推しの笑顔!ってときめいてる場合ではなくて、この状況一体どういうことなの?)

 クロークをじっと見つめると、バチッと視線が重なる。相変わらず相手を凍らせてしまうかのような冷ややかな視線だ。

「なんだ?」
「え?いえ、あの、クローク様がいらっしゃるのは珍しいなと思いまして」
「俺がいるのはダメか?」
「いえ、ダメではないですけど、不思議で……それに昼間あんなことがありましたし」

(え、まさか私毒殺される?私が死ぬところをわざわざ見に来たとか?)

 そうだとしたら趣味が悪すぎる。ゾッとしてクロークを見ると、クロークはフイ、と視線を落とした。

「君は本当に別人のようになってしまったんだな。レオに言われた時はまさかと思っていたけれど、実際に目の当たりにして驚いた。そして興味が湧いた」

 クロークはまたゆっくりとキャロラインに目を向けた。綺麗なオッドアイが宝石のようにキラキラと輝いている。

「君がどんな風に変わってしまったのか、当分間近で観察することにした」
「え?観察?」

(私は珍しい希少動物ですか?)

 戸惑うキャロラインを気にするでもなく、クロークは言葉を続ける。

「そういうことだ。料理が来たぞ。冷めないうちに食べないと料理長に失礼だ」
「……はい。いただきます」
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