ラスボスの夫に殺される悪役令嬢として転生したので、生き残ってみせる!と意気込んでいたらなぜか夫がデレ始めて戸惑っています
 しゅん、としながら謝るキャロラインを見て、クロークはさらに目を見開く。近くにいたレオは二人の様子を見て面白そうに微笑んでいた。

「……驚いたな。君は、本当にキャロラインなのか?キャロラインに化けた偽物なんじゃないのか」
「いえ、残念ながら正真正銘、キャロラインです」

 キャロラインが申し訳なさそうにそう言うと、クロークは顎に手を添えて少し考え事をしてから、キャロラインをジッと見つめて口を開く。

「名前は?」
「えっ、キャロライン・レギウスです」
「年齢と誕生日は」
「二十二歳、10月3日です」
「兄弟姉妹は?」
「兄と弟が一人ずついます」
「俺と初めて顔合わせをした日、俺に何と言った?」

 クロークの質問にキャロラインはハッとするが、クロークは真顔のままキャロラインを見つめている。

「……あなたのような呪われた男と結婚なんて認めない。いつか必ず離縁してやるから、それまで一切関わらないで、それから絶対に触れないで、穢らわしい」

 最後の質問に答えると、キャロラインは神妙な面持ちで目を伏せる。

(本当に、最低すぎるわ)

 自分の口から発した言葉だということは自覚している。たとえ頭を打つ前の自分だとしても、自分であることには変わりない。目の前の人間に、ここまで酷いことを平気で、しかも罵るように言ったのだ。

「間違いなく本人のようだな」
「……あんな最低なことを言って、本当に申し訳ありませんでした。クローク様が、私に対して嫌悪するのも、酷い対応をなさるのも、当然ですね」

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