~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「はぁ~、いつも賑やかなうちのお屋敷とはずいぶん違いますねぇ、御嬢様」
「恥ずかしいから、しばらく静かにしててちょうだいっ」
「すみません」

 ほわほわと能天気なミリィに頭が痛くなって、ジェミーは再び口を閉ざさせた。いつもならばジェミーとのでこぼこコンビっぷりもご愛敬だとしたって、交渉の席で相手に足元を見られるわけにはいかない。連れてくる人選を間違ったかしらと思いつつ、緊急時はなんとか自分を逃がすくらいはしてくれるとはずだとの期待を胸に、ひたすら前の背中を追う。

 案内されるまま玄関ホール奥の階段から二階に上がり、足が重たく沈む豪奢な絨毯敷きの廊下を進むと、その突き当りで老人はやっと止まる。
 前触れもなく扉がコツコツとノックされ。

「ルゼ様。お客様を連れて参りました」
「入ってもらえ」

 想像したより若い声が答えた。ジェミーを招いた人物といよいよご対面だ。重たい扉が開かれ、白い手袋が先を示す。
< 146 / 952 >

この作品をシェア

pagetop