~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「い、今はそんなことないですわよね? ねっ、ルゼ様」
「人を振り回すのは相変わらずに思えますけどね」
(ちょっと! そこはフォローしてくれるところでしょう!)

 冷めた反応を返すルゼにジェミーが物申そうと近付き、そこで、急にカーライルの目付きが油断ならないものに変化する。

「へぇ? 今は君がジェミーの我儘を聞いてあげてるんだ?」
「……? まあ一応そういうことになりますかね」

 よく意味がわからず護衛役のこととして捉えたルゼの答えは、カーライルのお気に召さなかったようだ。
 彼はぐっとルゼと距離を詰め、睨みを利かせた。

「ボクがいない間に彼女に気に入られるやつがいるなんてね。だが、そう簡単にその立場は譲らないよ。ジェミーのそばにいるべきは、このボクなのだと肝に銘じて起きたまえ。それじゃ、仕事が忙しいからまたね、ボクの大切な人」

 カーライルはそれだけ言い残すと、ジェミーだけには優しい笑みを残して去っていった。当のルゼはぽかんとしてその背中を見送る。
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