～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「デ、デール様、お口から血が！」
「なんでもない。自分の愚かさを噛みしめていただけだ。気付くのが、少々遅すぎた」
「うう、我々の力不足をお許しくだされ」

　デールが屈辱に打ちひしがれていると思ったのか、宰相のロドムが目を瞑り、悔しげに唸る。

「くっ。ペリエライツ家がまともな状態であれば、再度あの計画を発動し、ジェミーもろとも葬り去ってやれたものを」

　ロドムは前もって、現状をデールにこのように説明している。

　現在、ペリエライツ家の実権は、当主代行としてジェミーが握っている状態だ。
　そして奇しくも、第二王子クラフトの起こした行動により、ロドムの仕組んだ綿密な計画はお流れになってしまった。

　第一王子に対する偽の暗殺騒ぎで処刑に追い込むという手段は、あくまで当主であるガースルが命を発したとして仕組んであり、彼女には使えない。それにジェミー自身も第二王子が手配した王国騎士団の監視下にあり、おいそれとは手が出せない。
　
　なおかつ、エキュリゼ家の復権によりクラフトは致命的なふたつの手札を手に入れた。