～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「このような機会、誰の人生にも与えられるものではありません。今までの叔父様の努力を天が見ていたのです。この機を逃せば――」
「みなまで言うな」

　ルブロの肉付きのいい手のひらがジェミーの言葉を遮った。

　そして彼は、しばらく口元に手を当て、黙って考える。
　その答えは、挑戦か、見送りか――。

「うむ、話は分かった」

　重たい体がぐっと持ち上げられジェミーの前に進んでくる。
　そして彼は、信じて差し出したままでいたジェミーの手を――力強く握ってくれた。
　ルブロの顔に太々しい笑みが浮かぶ。

「いいじゃろう、その話に乗ってやろうぞ！　わしもまだまだこんな屋敷の奥で老いさばらえるには早い！　お前に協力し、肝心なところで役に立たぬ兄上に恩を売って、わしが手掛けしこのヴォルド領の酒のうまさを全世界に知らしめさせてやろうではないか！」
「それでこそです、叔父様！」

「父上、ようやくやる気になったんですね！」