道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません
「村長? 亜人だろ。ショボいスキルしか使えない種族が苦しがろうが、冒険者の知ったことか」


「あなた方冒険者がダンジョンに持っていくアイテムの殆どは、亜人やドワーフが作っていますのよ。あなた方が蔑み、些末な扱いをする彼らが作っていますの!」

「だから何だ?」

「彼らがいなければ、アイテムは作られません。ダンジョンに手ぶらで入ることになりますわ」

「何だと、きさま!!」

「そうなれば、いい気味ですわ。クソみたいな冒険者なんか、死ねばいいのに」

「この尼~!!」

怒りで眉を吊り上げ、顔を真っ赤に湯だたせた冒険者が、ラヴィーネの胸ぐらを掴んだ。

「何事ですか。騒がしい。手を離しなさい」

ラヴィーネが冒険者に殴られる寸前、ギルドマスターが奥の部屋から出てきて、冒険者の手を止めた。

「ラヴィーネさん。あなたも言い過ぎです。色々と不満はあるでしょうけど……『死ねばいいのに』は。さあ、私への要件。奥で詳しく伺いましょう」

ギルドマスターは顔に薄い仮面を1枚貼りつけでもしたように、表情1つ変えない。

声を荒らげることもなく、場を静めた。
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