迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
***
答えが出ないまま、あっという間に時間は過ぎていった。二月中旬の空には重たい灰色の雲があり、今にも雨が降り出しそうである。
十二時近くになり、売れ行き好調のバレンタインデーシーズンのために用意した新商品を追加でショウケースに並べていると、ひとりの女性客がやってきた。
「いらっしゃいませ」
パートスタッフと共に声を掛けると、女性客はケーキではなく私をじっと見据える。強い眼差しにたじろいで、接客中にもかかわらず顔をこわばらせてしまった。
それほどの威圧感があり、唾を飲む。
「小早川桃花さんはいらっしゃいますか?」
脈絡なく飛び出した自分の名前に、心臓はさらに激しく鼓動する。
「私ですが……」
言葉が続かない。だって、面識はないはずだ。
「突然すみません。私、山科奈緒(やましななお)といいます。橙吾さんの件でお話ししたいことがあるのですが、お時間いただけないでしょうか」
橙吾さんの、なんだっていうのか。要件がまったく想像できなくて困惑する。しかし私用で店先に居座られるのは他客の迷惑になるので、迅速な対応をするしかない。
答えが出ないまま、あっという間に時間は過ぎていった。二月中旬の空には重たい灰色の雲があり、今にも雨が降り出しそうである。
十二時近くになり、売れ行き好調のバレンタインデーシーズンのために用意した新商品を追加でショウケースに並べていると、ひとりの女性客がやってきた。
「いらっしゃいませ」
パートスタッフと共に声を掛けると、女性客はケーキではなく私をじっと見据える。強い眼差しにたじろいで、接客中にもかかわらず顔をこわばらせてしまった。
それほどの威圧感があり、唾を飲む。
「小早川桃花さんはいらっしゃいますか?」
脈絡なく飛び出した自分の名前に、心臓はさらに激しく鼓動する。
「私ですが……」
言葉が続かない。だって、面識はないはずだ。
「突然すみません。私、山科奈緒(やましななお)といいます。橙吾さんの件でお話ししたいことがあるのですが、お時間いただけないでしょうか」
橙吾さんの、なんだっていうのか。要件がまったく想像できなくて困惑する。しかし私用で店先に居座られるのは他客の迷惑になるので、迅速な対応をするしかない。