迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 住んでいるマンションに無事辿り着いたところで焦げ臭い匂いが鼻腔を刺激した。はっとして前方に目を凝らすと、真っ赤な炎が空に伸び広がっている。

「……嘘でしょ」

 炎が見える辺りには工場などはなかった記憶だ。足止めをしている間にも、どこからともなく現れた人々が同じ方角へ引き寄せられていく。

 ぐっと奥歯を噛み締めて私も続いた。

 どれくらいの時間がかかったのか定かではないが、マンションからの距離からかんがみて十分程度と推測する。現場には離れた場所から様子を見守る多くの人たちと、声を張り上げて指揮する消防隊員たちで騒然としていた。

 赤いランプが建物の外壁に反射して周囲を光らせ、黒煙と炎が十空を覆いつくしている。放水隊だけではなく、救助隊や特殊車体も目視で確認できる。

 これらは橙吾さんから仕事内容について教えてもらったので知識としてはあったが、映像や写真以外で目にしたのは初めてだ。

 放水が始まるようで、隊員たちが怒号にも聞こえる大きな声でなにやら確認を取り合っている。オレンジ色の制服を着た隊員たちが駆けていったなかに、見慣れたシルエットを見つけた。

 あれ、もしかして橙吾さん?

 防護服に覆われて顔もわからないけれど、背の高さや身体つきからして、きっとそう。
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