迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 いけない。長引かせたら泣いてしまう。

「……それだけじゃなくてね、やっぱり苦しいの」

 橙吾さんは下を向いたままだ。背の高い彼のつむじを見るのは初めてだな、と悲しみに麻痺し始めた心で言葉を続ける。

「両親を火災事故で亡くしているから、生死と隣り合わせの、消防士である橙吾さんのそばにいることに、疲れた」

 胸が切り刻まれたかのように痛い。私は今、橙吾さんを一番傷つける発言をしているのだ。

「昨日、すぐ近くの住宅火災の現場にいたの。橙吾さんが働いている姿も見た」

「え」と小さく呟いた橙吾さんが顔を上げる。

「怖かった。お父さんとお母さんが亡くなったときは、映像で見ただけだったから。もちろんそれでも怖かったし、その手のニュースはずっと避けていたの」

 橙吾さんの腕が伸びてきて私の手を優しく握る。温かくて、ずっと触れていたいと本音が抗ってくる。
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