迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「初めてこの目で見て……」

 声が掠れて、つかえた。橙吾さんの手に力がこもり、想いがひしひしと伝わって握り返したくてたまらなくなる。

「耐えられなかった」

 橙吾さんから大切な仕事を奪うかもしれない自分の存在が嫌になった。怖かったのは本音だけれど、怯えているだけの私とは違い、勇敢に炎のなかに飛び込んでいく姿はカッコよくて、誰にでもできる仕事ではないからこそ辞めてほしくないと心から思った。

「ごめんなさい」

 これ以上、言葉を紡げない。

 黙りこくった私の手をそっと解放した橙吾さんからは、たった一言「わかった」とだけ返ってきた。

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