迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 保育園や公園で周りの子を見ても、紅汰ほどわんぱくで激情型な子どもはいない。自我が芽生えて自己主張が強くなる、いわゆるイヤイヤ期に入った半年前には、ノイローゼ気味になって姉に泊まり込みで助けてもらっていたほどだ。

 だいぶ慣れたとはいえ癇癪も起こすので、いまだに紅汰には手を焼きっぱなしでいる。

 それに比べて……。

「さーちゃん、そろそろ起きませんかぁ」

 のんびりと声を掛けると桜子はくりっとした目を開け、私を認識すると陽だまりのような笑みを浮かべた。桜子は本当に橙吾さんそっくりだ。

「可愛い~癒される~」

 思わず抱きつくと、小さな手が胸をぱしぱしと叩く。つれない。

「ぱん!」

「はーい。かにさんパンあるよ」

 桜子は瞳をきらきらさせ、紅汰がいないのを確認してからベッドの上をはいはいで移動し、慎重に段差を下りる。

 おおらかな性格は橙吾さん譲りかな。だから紅汰は私の性格に似ているのだと思う。ただ両親は亡くなっていて聞くことができないし、姉もよく覚えていないと言っていた。
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