迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 私って未練がましいな。

 三十五歳になった橙吾さんはきっと結婚して別の家庭を持っているに違いない。それが山科さんだと想像するだけで胸が重くなるが、自分で選んだ道なのだから乗り越えるしかないというのに。

 双子の支度を終えて時間を確認すると、出発まで十五分の余裕があった。

 キッチン道具でおままごとをしている紅汰のそばに座る。

「お腹が空いたから、なにか作ってもらえないかなぁ」

 ふたりが同時に振り向き、目を丸くしている。すぐに動いたのは桜子で、ぬいぐるみを私の隣に座らせた。

「まんま、いりゅ?」

「いるいる。お腹ぺこぺこ」

 私に任せろといわんばかりの顔をして、おもちゃの鍋に野菜などを入れ始める。

 紅汰は話しかけてこないものの、真剣に調理をしているのできっと運んできてくれるだろう。

 可愛い姿をスマートフォンのカメラで撮影し、映りを確認してからまたシャッターを切る。写真フォルダはふたりで埋め尽くされている。
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